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電波通信

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Sardの定理にまつわる反例その2

論文の紹介です。

 以前Sardの定理における微分可能性の仮定について以下の記事を書きました。

 

concious4410.hatenablog.com

 

この記事の続きです。長くなりそうなので分けました。

前回の記事ではホイットニーによるsardの定理にまつわる以下の反例を紹介しました。

定理1

C^1写像 f:\mathbb{R}^2\to \mathbb{R} でその臨界値の(1次元)ルベーグ測度が正のものが存在する。

前回はホイットニーの拡張定理を用いることによってこれの存在がわかることを紹介しましましたが、今回はより簡単な構成方法を紹介したいと思います。以下で紹介する方法は参考文献[1]によるものです。

ちょっとしたリコール、もしくは約束ですが、関数 h の臨界点とは h のヤコビ行列がフルランクではない点のことで、その全体を C_h と書くことにします。臨界値とは h(C_h)の点のことです。

以下では K と書いたら、通常のカントール集合を表すとします。単位区間を三等分して真ん中くり抜いて作るアレです。

まずは次の事実を認めます。

事実2

K+K=[0,2] が成り立つ。ここで K+K=\{x+y\mid x,y\in K\} である。

これの証明は、例えばCounterexamples in Analysis とかに載ってます。

この有名な事実を用いて定理1の関数を構成していきます。

次の定理が肝です。

定理2

C^1写像 g:\mathbb{R}\to \mathbb{R} でその臨界値全体 g(C_g)K を含むものが存在する。

 これの証明は参考文献を見てください。

さて、この g を用いて

f(x,y)=g(x)+g(y)

と f:\mathbb{R}^2\to \mathbb{R}定義します。するとfのヤコビ行列は

J(f)(x,y)=(g'(x),g'(y))

となるので

C_g\times C_g\subset C_f

 がわかり、fの定義から

f(C_f)\supset g(C_g)+g(C_g)=K+K=[0,2]

となるのでfの臨界値全体の集合f(C_f)が一次元ルベーグ測度で正の測度を持つことがわかった。

 

参考文献

 [1] E. L. Grinberg, On the Smoothness Hypothesis in Sard's Theorem, The Amer. Math. Monthly, Vol. 92, No. 10 (1985), pp. 733-734
 [2] A. Norton, A C^{1\times \infty} Function with an Interval of Critical Values,   Indiana Univ. Math. J., Vol. 40 (1991),  pp. 1483-1488.